
残クレを法人契約した場合の経費処理は、どうなるのでしょうか?
基本的には
減価償却分+利息だけ経費化
となります。
残クレの場合、ローンの支払い額の全額が経費にはなりません。
5年契約だと支払額の10%ぐらいは資産返済として扱われ、経費には出来ません。
もちろん最終的には帳尻は合うんですが・・・
残クレはキャッシュアウトは大きいのに節税効果が薄い
というわけです。
なので法人の場合、残クレよりもカーリースを選ぶ法人が多いです。
特にトヨタ、レクサス、スバルならKINTOの利用が増えています。
目次
残クレを法人で契約する際の経費処理はどうなる?
残クレの経費処理は以下のようになります。
1. 会計上の扱い
残クレは「所有権留保付き割賦販売」として扱われます。
契約時に「固定資産」として全額計上され、支払利息部分だけを「支払利息」として経費処理という形になります。
※ リース契約のように毎月の支払額全額を経費計上はできません。
2. 減価償却で車両分を経費化
さすがに利息だけ経費だと、微々たるお金しか経費になりません。
そこで車両を法人の固定資産として計上した後、法定耐用年数(普通車6年・軽4年)に基づいて減価償却します。
その償却費を経費として計上されます。
なぜ支払い分の全額が経費にならないのか?
冒頭でもお伝えした通り、残クレの場合はローンの支払い全額が経費には出来ません。
詳細な例を出してみます。
- 500万円の車を5年(60回払い)で残クレ契約した場合
- 車両本体価格(税抜):500万円
- 残価設定:150万円(5年後の想定下取り価格)
- 金利(実質年率):3%
- 登録諸費用・税金:20万円
- 支払総額:約 520万円(本体+諸費用+金利)
このケースの場合で詳しく見てみましょう。
1. 毎月の支払い
頭金なしの場合、毎月の支払額は 約6.1万円(×60回)
年間支払額は 約73万円
2. 経費にできるのは「減価償却費+利息」
普通乗用車の法定耐用年数は6年。
ここがポイント! → 残クレの場合は、減価償却の対象は残価を引いた分になります。
つまり今回の場合、500万円 − 残価150万円 = 350万円が減価償却の対象。
350万円 × 0.167 ≒ 年58.4万円 が減価償却費。
※0.167=1/6。6年の耐用年数の1年分。
これに利息(年間約8万円)を加えた額が経費計上可能。
3. 差額は経費にならない
年間支払い額:約73万円
年間経費計上額(減価償却+利息):約66万円
73万円 − 66万円 = 7万円 は経費にならず、実質的には「資産の返済」として扱われます。
4. 最終的には帳尻が合う
契約満了時に「返却」する場合、簿価との差額を処理するため、支払額と経費の額は帳尻が合うようになります。
ただ経費化するのが遅れるので、キャッシュフロー的には良くない。
つまり残クレは・・・
返済額と経費計上できる額が一致しない
現金支出は毎月発生しても、税務上は資産の返済部分は経費にならないのです。
そして経費の処理が面倒くさい
ここまでご覧になってお分かりだと思いますが、残クレは特に経費の処理が面倒くさいです。
残クレの面倒くささ
- 減価償却計算・簿価管理・期末処理が必要
- 途中で車を手放せば「除却損」や「残債処理」など会計処理が複雑に
- 税金や保険なども別途経費計上
- 決算ごとに簿価を管理
さらに・・・
返却時に追加費用が経費にならない場合がある
追加費用とは「走行距離超過」「車両状態の悪化」「事故歴」などで発生します。
これらが損金算入が認められないケースがあります。
特に税務調査に入られて、業務使用の証明が不十分だと「個人的損失」とみなされるケースが多いです。
これはかなり痛いです。
やっぱりカーリース、特にKINTO
残クレは特に法人契約の場合、余計な処理も増えるし、ちゃんと経費計上されないからメリット少なく、デメリットが多いのが現状です。
カーリースなら経費処理はかなり簡単
毎月の支払いをそのまま「リース料」として損金計上できます。
もちろん減価償却は不要です。
特にトヨタのサブスクKINTOなら、税金はもちろん、任意保険やメンテナンス代もコミコミなので、さらに経理処理が楽です。
※一般のカーリースでは、任意保険やメンテナンス代は別。
さらに貸借対照表に車両資産や残債が載らないので、決算書の見え方をスッキリさせたい企業には大きなメリットです。
KINTOと残クレ、経費処理の違い
| 残クレ | KINTO | |
| 会計処理 | 固定資産で 減価償却 |
リース料で 毎月損金処理 |
| 処理の手間 | 減価償却計算 簿価管理が必要 |
ほぼなし |
| 保険、税金、 メンテ代 |
別で契約 別で会計処理 |
支払いに含まれる |
| 決算書への影響 | 車両資産 残債を計上 |
不要 |
| 資金繰り | 契約中は 負担大きめ |
毎月定額で安定 |
残クレとKINTOの価格の比較
さて経理処理が格段に楽になるKINTO。
しかも税金も任意保険もメンテ代も全部付いてる。
もしかしたら「KINTOって高いんじゃないの?」って思われているかもしれません。
でも
実は残クレとあまり値段は変わらない
実際に月額料金を比較してみましょう。
例えば

プリウスGグレード 3年契約で見てみましょう。
価格は2025年8月現在、ボーナス払いなし、オプションなしで比較します。
KINTOと残クレの料金比較
| KINTO | 残クレ | |
| 頭金 | 0円 | 0円 |
| 月額料金 | 64,460円 | 62,800円 |
| 自動車税 | 月額料金に含む | 自腹 |
| 任意保険 | ||
| メンテナンス代 | ||
| ロードサービス | ||
| 返済時の精算 | ほぼなし | 事故ったら 数十万円 |
※KINTOは公式サイトで、残クレはトヨタ公式サイト(トヨタモビリティ東京)でそれぞれシミュレーション。
残クレとKINTOの差額は1,660円。年間だと19,920円、KINTOの方が高くなる。
でもKINTOは税金や任意保険なども付いています
もちろん残クレは自腹。
自動車税だけでも年間3万円かかるのに、その上、任意保険やメンテナンス代も自腹です。
KINTOのほうが高いけど、自動車税のことを考えただけでもKINTOの方がオトク。
もちろん車種や契約年数によって、値段は変わってきます。
場合によっては、残クレの方が得なこともありますが、ぜひトータルコストで計算してみてください。
ほとんどのケースでKINTOが有利だと思います。
KINTOのデメリットは車種が限定されていることと、返却時に買取が選べないこと
それさえ気にならなければ、金額的にもKINTOほぼ一択なんじゃないかなぁと思います。
